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資料室

関西地域学習会の夜明け

神野 啓子(腎性尿崩症友の会 代表)

関西地域学習会を立ち上げようと盛り上がったのは、2003年のワークショップ初日の懇親会のときでした。関西からの出席者が集まって話しているうちに、「話し合いが年に1回しかもてないのはもったいない。もっと頻回に集まって話をしよう、やろう、やろう!」と関西人特有の乗りで日程まで決めてから、ファイザー(株)の奥澤氏と廣田氏に会場の手配と協力をお願いしました。
 こうして第1回関西交流会が、2004年1月10日尼崎市立総合文化センターで、14団体計22名が参加して行われました。1つの重要な案件を簡単に実行に移してしまう関西人のエネルギー。我ながら、アッパレです。
当日、「関西で集まって何をするのか」から話し合いを始め、以下のような項目について実践方法を検討しようという結論に達しました。

1.医学教育(医学の向上)
2.患者・家族・患児の親の教育教育(患者側の向上)
3.難病患者の就労問題(患者の自立)

の3点ですが、医学教育と患者教育は一本化して考え、まずは医学教育のカリキュラムに患者の声を組み込むことはできないか、その方法について検討することから進めました。

 第2回は2004年7月24日(土)、尼崎市総合文化センターにて13団体21名が参加。
既に医学教育に参画して活動する団体に、全国膠原病友の会関西ブロックがありました。世話人の菊池素子からの「教壇に立つ活動」の経緯と自身が患者講師となって、医療専門職者に話された疾病体験を再現して頂きました。また、ファイザー(株)からは開原成允先生の活動に関する情報を得ました。このことが、次回のワークショップの演者である北村聖先生に繋がったのです。→第2回資料:膠原病友の会、久保田百合子

 第3回は2004年1月29日(土)、尼崎市総合文化センターにて11団体14名が参加。
何度も医学生の前で講演している「小さないのち」の坂下裕子と、「関西地区口唇口蓋裂児と共に歩む会」の中田智恵海のプレゼンテーション。前者は、インフルエンザ脳症の初期症状として親にしかわからない症状のアンケート結果を紹介。また、後者は体験的な見地からミルクの飲ませ方などの報告でした。→第3回資料:小さないのち 、坂下裕子

 第4回は2005年5月14日(土)、森之宮アピオ大阪にて10団体11名が参加。
 坂下裕子が2つのパターンの発表。1つは医学生の意見を引き出すための付箋を使った具体的な方法。もう1つは、パワーポイントでスライドを作成するときには絵や写真を多く用いる、そして文字による資料は手もとに配布しておき、考える余韻を残すような方法でした。その後、それぞれについて意見交換をし、どのような発表が望ましいかについて、具体的に話し合い、以下のテーマに沿って発表し、意見交換をすることに決りました。
1)医師から自立したセルフヘルプグループ(以下SHGと記す)患者会の立ち上げ支援、医療者のメンタルケア
2)ピア・サポートの価値(グリーフケア=悲嘆ケアも含む)
3)出世前診断(慢性疾患・遺伝疾患を含む)
4)小児疾患・慢性難病疾患(就学、就労などの発達段階における問題、在宅ケア、小児・大人への過程も含む)
 次回からは、上記のどのテーマが自分の会に当てはまり、どのような内容がふさわしいのか、を自分で選択して発表することに決りました。

 第5回は2005年7月23日(土)、森之宮アピオ大阪にて12団体13名が参加。
 松城里香の発表。グリーフケアの部分で、お子さんが病気で入院、そして亡くなるまでの体験発表でした。感動的でした。その後、「患者が医学教育に参加する」のテーマで、7月29日の日本医学教育学会に患者として初めて参加できることになった中田智恵海が、記念すべき日の発表を披露しました。→大阪・ひまわりの会:松城里香

 第6回は2005年9月3日(土)、森之宮アピオ大阪にて10団体15名が参加。
 遺伝疾患の観点から、中井伴子の発表。第5回、第6回とも発表後は、それぞれの良し悪しや効果的な発表にするための意見交換をし、患者が医学教育の講師として効果的に話す方法を探りました。→日本ハンチントン病ネットワーク:中井伴子

 第7回は2006年1月28日(土)、尼崎総合文化センターにて9団体13名が参加。
 参加者が一定程度同じメンバーになってきましたので、今回からは初めて参加する方も参加しやすい環境づくりのために、自分たちの会の問題点、情報、お知らせなどを話す場も設けました。
模擬発表は腎性尿崩症の神野啓子が「小児慢性疾患である腎性尿崩症の見地から」と題して、主に第4回の学習会で分けた(4)小児疾患・慢性難病疾患(就学・就労などの発達段階における問題、在宅ケア、小児から大人への過程も含む)のテーマに沿って話しました。
腎性尿崩症:神野啓子

 第8回は2006年7月8日(土)、大阪のアピオ大阪にて9団体16名が参加。この学習会には北信越学習会立ち上げ準備の下見を兼ねて来られた「認知症の人と家族の会」の勝田登志子さん、NTT西日本大阪病院の栗谷太郎先生の参加がありました。
 初参加の方がおられましたので簡単な会の説明の後、自己紹介、各会からの情報交換をいたしました。それぞれの会の活動報告からは、これまで各々が携わってきた活動はもちろんのこと、このVHOネットワーキングの会で新たに知り合った方々とネットワークがつながり、広がってきて成果を挙げてきていることが良く分かりました。また、いろいろなところでの講演発表時には関西学習会での模擬発表の体験が大きな自信へとつながり、聴かれた人の感想からも大きな成果を上げてきていることが分かりました。
 模擬発表は、全前脳胞症の会「天使のつばさ」の岡本裕美の「いのちと向き合って〜出産から死の受容〜」です。主に第4回でのテーマ(2)ピアサポートの価値(グリーフケアも含む)(3)出生前診断(慢性疾患、遺伝疾患を含む)の分野です。→天使のつばさ:岡本裕美

 ファイザー(株)は、発表の支援としてパワーポイント作成のための講習会を2回開催。
今後の課題についてみると、医学生に対する講演依頼が来た場合、依頼を受けられるメンバーはまだまだ少なく、一度発表の練習をしただけで対応ができるのかという大きな不安もあります。発表が一巡した後は、今後の実践に備えて発表内容とテクニックの向上を目指して、深く長く勉強していきたいと考えています。内容の質の向上のためには、より多くの参加者の意見が望まれます。VHO-Netのワークショップ参加者の関西支部がある団体にも呼びかけをお願いしたいと思います。→→http://www.vho-net.org/

以上が、これまでに発表された方々の報告と話し合いとを含めた記録です。これらは先駆的な試みですから、私たちの「為したこと」を正確に記録し、医学教育に患者の声を組み込むための努力の経緯を残しておくつもりです。それはきっと、後に続く人々の役に立つにちがいありません。これらの記録を参考にこうした努力が日本中のあちこちで実践されることを願ってやみません。

ヘルスケア関連団体ネットワーキングの会 関西地区